バスクの地ワイン、チャコリ

スペインの美食の地、バスク地方。
その美食の文化とともに育まれた「地ワイン」が、チャコリです。
どんなワインなのかを紹介していきます。

目次

チャコリって、なに?

バスク固有のぶどう、
オンダラビ・スリとオンダラビ・ベルツァ

そもそも、「チャコリ」ってなんぞや?という感じかと思うのですが、簡単に言うとスペインのバスク地方で、現地のぶどうを使って作るワインのことです。

スペインのバスク州には3つの県があり、その3県それぞれで伝統的にチャコリをつくっています。
チャコリの歴史の始まりは、バスクのぶどう農家さんが自家消費用に作っていたのが始まり。まさに「地ワイン」なんです。
この「チャコリ」という名前の由来、諸説あるのですが一説として、バスク語の” Etxeko Ain”(エチェコ・アイン)という言葉が変化した、というものがあります。
昔、スペイン各地のワインの調査をしている学者さんがバスクを訪れ、ワインを作っている農家さんに「ここではどのくらいの量のワインを作っているのですか」と尋ねたそうです。
その時に帰ってきた返事がこの「エチェコ・アイン」。直訳すると、家で飲むのにぴったりの量=自分たちで飲む用で、売るためのワインじゃないんだよ、ということだそうです。

もともとそんな歴史を持っているワインなので、今でもその生産量の多くは地元・バスクで飲まれていますが、近年は「自分たちの風土を感じるこのぶどうの魅力を、世界の人たちにも伝えたい」という意欲のある生産者が増え始め、海外での高い評価を受けるようになってきました。

使われるぶどう品種は、バスク固有の品種である「オンダラビ・スリ」という白ぶどうがメインで、「オンダラビ・ベルツァ」という黒ぶどうもスリに比べたら少量ですが、赤ワインやロゼワインに使用されています。
初めて聞いたぶどうの名前!と思われるかもしれませんが、それもそのはず。
「シャルドネ」や「カベルネ・ソーヴィニヨン」などの世界的にメジャーなぶどうではなく、バスクでしか作られていないぶどうです。
バスクの風土に良く合う、バスクならではの品種なんです。
名前も、バスク語由来なんですよ。

バスク固有のぶどう発祥の地、オンダリビア

名前の由来となっているのは、フランスとスペインの国境付近にある小さな港町の「オンダリビア」。
昔ながらのバスクのかわいらしい街並みや、昔の城塞をホテルにしたパラドール(スペインの国営ホテル)もあり、見どころのある小さな港町です。
スリ=バスク語で「白」を意味しており、「オンダリビア村の白ぶどう」=オンダラビ・スリなんです。なんだかとっつきにくい名前のように感じますが、名前の付け方はとーってもシンプルですよね^^

では、ここで問題です!スリが白なら、ベルツァは?



はい、正解はベルツァ=黒!赤じゃないですよ。(赤ワインは、果皮の「黒い」黒ぶどうから作られます。)
「オンダリビア村の黒ぶどう」=オンダラビ・ベルツァです。
ほら、覚えられる気がしてきましたね!(笑)

チャコリってどんなワイン?

実はチャコリの生産量のほとんどが白ワインなんです。その率、なんと約90%!
そして、一部で赤ワイン、スパークリングワイン、ロゼワインなどが作られています。

なんとなく、「美食の街のワイン」と聞くと赤ワインを連想しませんか?
高級なワインもどちらかというと赤ワインの方が多いですよね。
でも、バスクで作られているのはほとんどが白!それもまた面白いなぁ~と思ったポイントの一つです。
色々と理由はあると思うのですが、

・バスクの食文化に合う
海の幸がとても豊富なバスク。気軽に飲むのにはやっぱり白のほうが合わせやすい。
現地の友人たちはお肉にもチャコリでした。
いろんなおいしいもの、楽しい食事を囲むときにぴったりなワインなんです。

・すぐ近くに赤ワインの有名な産地、リオハがあるので赤はそっちを飲む
バスクの人たちがいっつも白ばっかり飲んでるというわけじゃないんです。
地元のバルでは、赤はほぼ100%、バスクの近くの赤ワインの銘醸地、リオハの赤を置いてます。
地元の人たちのオーダーを聞いてると、「リオハを1杯ちょうだい」とか、「チャコリを1杯」とかオーダーしてるんですよね。
「赤ワイン」とか「白ワイン」じゃなくて、赤=リオハ、白=チャコリって感じになってるんですね。

サン・セバスチャンのバルにて

そしてこのチャコリ、ほとんど白ワインなんですが産地によって特徴が違うんです!
海に近くて雨の多い地域は伝統的にぴちぴちとした微発泡のスタイルが多くて、この写真みたいにボトルを高く持ち上げて足のないグラスに勢いよく注ぐのが特徴。
なんとなく、チャコリといえばこの飲み方!と思っている方もいらっしゃると思います。
でも、チャコリを作ってる3県全部でこういう飲み方をするわけじゃないんです!
実は私もこのことについてはちょっとした思い出がありまして・・・(笑)
チャコリの産地の詳しい違いについて知りたい方はぜひこの記事も読んでみてください^^

近年のチャコリの進化

さて、そんなチャコリですが、以前は「ぴちぴちフレッシュ」「さっぱりとした白ワイン」のイメージが主流だったのですが、ここ近年は目覚ましい進化を遂げています。
もちろん、伝統的なぴちぴちフレッシュなチャコリはとってもおいしいです!
例えば、こんな1本とか。

でも、チャコリ=ぴちぴちスレッシュだけじゃないんです!
地元のぶどう、オンダラビ・スリの可能性を追求する生産者が、意欲的ないろんな挑戦をしています。
・瓶内二次発酵のスパークリングワイン。シャンパンと同じ製法!微発泡じゃなくてしっかりしたきめ細かい泡立ちを楽しめます。
・コンクリートエッグタンクで澱と一緒に長期熟成をするチャコリ。熟成タイプのチャコリってどんな味なんだろう!?って思いますよね!めちゃくちゃおいしいです。
・オンダラビ・スリでつくるオレンジワイン。今のところ市場に売り出しているのはなんと一社しかないのですが、バスクのワインの歴史に新たな挑戦の一ページを加えた意欲作です。
・・・とこんな感じで、いろいろと楽しい(そして美味しい)挑戦をしているワイナリーがあります。

私が思う、チャコリの魅力

魅力的だなぁと思うことは色々あります!
が、あえて一番というと、私がこのチャコリ愛の道に進むきっかけになった、心を動かされた瞬間のことをお伝えしたいなと思います。

チャコリに初めて出会ったとき、私はソムリエの資格を取得し、酒販店で働いていました。
色々な素晴らしいワインに囲まれて、そのワインの魅力を伝えるために自分なりに試行錯誤をしていました。
「このワインには、こんな料理が合います!」とか、その逆に「この料理にぴったりなワインはこれ!」というご紹介をしながら、いつも「このワインに一番ぴったり合うものはなんだろう?」ということを考えていました。
チャコリを初めて紹介してもらったとき、私はそのワインの存在を知りませんでした。(笑)
そして初めて飲んだ時の第一印象は、
「このワインに一番ぴったり合うものが、思いつかない」
でした。常に「一番」合うものを考えていた私にとってこれはかなりの衝撃でした。
この表現は、決してネガティブなものではありません。
チャコリの存在はそれまでの私の「一番ぴったりを探す」という考え方から、私自身を解放してくれたような気持がしたのです。
「何にでも合う」というのが、心の底からぴったりだと思ったんです。
そしてその「何にでも合う」というのが決してマイナスな意味ではなく、懐の深さを感じるような感覚でした。

今ではもっと気持ちを込めて、「おいしい食事に寄り添い、引き立てる」そんなワインです、とご紹介しています。

そして、いろいろな生産者のおかげで、チャコリの世界に多様性が生まれ、さらに目の離せないワインだなと感じています。

このページを通して、少しでもチャコリの魅力の一端を感じていただけたら嬉しいです^^
あとはやっぱり、実際に楽しく飲むのが一番です!(笑)

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA